SDGs実践の手引き「畜産業とSDGs」

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From:SDGsジャーナル 河上伸之輔

 

畜産業と温室効果ガス

畜産業の経営者から「SDGsを考えるとうちの業界はない方がいいのかもしれない」という相談を受けたことがあります。その方はブランド牛の生産や加工食品の製造・販売などをされていました。
SDGsのことを学んでいく中で、畜産業における環境負荷について考えられていました。

肉の生産には多くの温室効果ガスが排出されます。
2013年に国連食料農業機関が発表した報告によると世界の温室効果ガスの排出量の約14%は畜産業であるとされています。餌の生産や飼育におけるCO2の排出だけでなく、牛のゲップなどのメタンガスが温室効果ガスの大きな原因であると知られるようになってきました。

では、環境のためには畜産業がなくなればいいのかというと、決してそんなことはありません。SDGsは経済と環境と社会のバランスをとることです。
温室効果ガスの排出量の大きい業種を改善することができれば、地球全体に大きな効果が生まれます。

現在は、排泄物から排出されるCO2を大幅に削減する技術や、牛のゲップにおいても飼料の改善や個体による排出量の測定などが行われ研究が進んでいます。畜産における温室効果ガスの排出量の削減に関しては、現在は生産コストのアップになってしまいますが、価格の調整や補助などが必要であるため、業界全体で取り組んでいくことが必要だと考えます。

 

循環がポイント

畜産業のSDGsの取組みを進めるキーワードは「循環」です。

家畜の生産にはたくさんの飼料が必要になってきます。飼料のほとんどは輸入されています。輸送における環境負荷や、飼料の生産が生産国や近隣国の飢餓や水不足を生み出しているということも問題となっています。飼料について輸入の比率を減らすことは重要な課題です。

パートナーシップによってこの課題に取り組んでいる畜産業者もたくさんあります。
豆腐やビールの製造から生まれる豆腐粕やビール粕などを飼料として用いる畜産業者もあります。または食品残渣などを肥料として加工するという取組みも進んでいます。食品加工業者と連携してもいいですし、食品残渣を肥料に加工しているゴミ処理場などもあります。
本来は、生物、食べ物は地球上で循環していたものです。

一見効率的に行われてきた食料生産が、実は経済という観点が重視され、環境や社会という側面が抜け落ちていたのです。
今後の畜産業の未来は、実は昔のやり方にヒントがあるのかもしれません。

 

アニマルウェルフェア

アニマルウェルフェアという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
動物における身体的や精神的なストレスのを軽減させるということですが、まだまだ認知度は高くありません。畜産業においては効率を考えて、小さい面積で育てられるようになりました。養鶏場において積み上げられたゲージの中で過ごす鶏をご存知の方もいらっしゃると思います。

このように工業化が進んだ畜産業ですが、生産効率は落ちるけれどストレスをかけない生産をしようという畜産業者もあらわれています。ヨーロッパではアニマルウェルフェアの考えが多くの消費者に浸透しているようです。スーパーに並んだ肉だけを見るのではなく、消費者にどのように生産されているのかということを知ってもらう必要もあります。そうすれば、食べ残しを減らすことにもつながります。

以上、環境への負荷が大きいと考えられるようになった畜産業ですが、人の生活のために必要な産業であります。
負荷が大きいからこそ、改善の効果も大きくなります。

SDGsの大きな流れは、環境負荷の軽減に取り組む畜産業者さんにとっては追い風となります。

 

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