パートナーシップを最初に組むべき相手とは?

SDGs 目標17 パートナーシップ

From:SDGs支援機構 深井宣光

あなたの会社ではSDGsを通じてどんなパートナーシップを組んでいますか?

国、地方自治体、企業、地域住民、みんなが手を取り合い「誰一人取り残さない」のがSDGs目標17のパートナーシップであり、全ての目標達成に必要とされています。

しかし、「自社のビジネスに置き換えてみるといまいち現実味がない。」

「SDGsで受賞した企業事例のように複数のステークホルダーとどうやってパートナーシップを作ればいいのかわからない。」

「パートナーシップを組むことで、どんなメリットがあるのかイメージ出来ていない。」

そんな生の声をセミナー会場等でよく伺うことがあります。

そこで今回の記事では、先日公開した「今さら聞けないバックキャスティングの使い方」に引き続き、日本JCのプログラム取材から、

  • 中小企業が最初にパートナーシップを組むべき最強の相手
  • パートナーシップ最大の鍵

についてお届けします。

SDGs パートナーシップ

SDGsジャパン代表理事 黒田かをり氏

【今回の取材プログラム概要】
外務省後援 日本JC「SDGsアンバサダー養成プログラム」
「目標17パートナーシップ専門家講義」講師:黒田かをり氏
SDGsジャパン代表理事
SDGs実現の為に、政府、国際機関、民間企業を問わず様々な提案・助言を行なっている。またSDGs達成の調査・研究の第一人者でもある。
→ 外務省後援 日本JC「SDGsアンバサダー養成プログラム」
企業が本業を通じてSDGs推進をすることによって、日本社会をより良い方向へ導く為の「SDGsアンバサダー(大使)」養成研修プログラム。4月25日から4日間に渡って開催。参加者:各地JC代表者48名

SDGsアンバサダーとなった、各地JC代表者はプログラム終了後、各地でSDGsの推進活動を展開中。

最強のパートナーシップはここにあり!

私たち中小企業がパートナーシップを組むべき相手とは誰か?

第2回ジャパンSDGsアワードパートナーシップ賞を受賞された大川印刷さん(創業135年)の事例を通して、黒田氏が示された「パートナーシップをまず最初に組むべき相手」

その相手は、国でも、地方自治体でも、企業でもありませんでした。

では、誰なのか?

それは…

あなたの会社の「全員」

SDGs 目標17 パートナーシップ

大川印刷さんでは自社の「SDGs経営計画」策定を、経営陣からのトップダウンではしませんでした。

なんと、経営陣から従業員さんまで社内全員参加のボトムアップで策定されたそうです。

それにより、大川印刷さんにとって「SDGs」は社長、役員、従業員さんまで、全員共通の価値観と目標を明確に表す「共通言語」になりました。

ある日突然会社が口にしだした「SDGs」ではなかったのです。

そして、誰一人やらされ感なく、参加意識が向上し、SDGsという「共通言語」によって役職や年代を超えての話し合いができるようにもなったそうです。

つまり、「誰一人取り残さない」パートナーシップをまずは自社内から実現されました。

大川印刷さんのHPではこのように触れられています。

ひとり一人が会社の経営に参画する。
このスタイルで経営計画を策定していくのも7年以上経過した。
そしてSDGs経営計画としては3年目。

SDGsが加わったことで、以前よりも生き生きと語り合えるようになっている。
おそらくそれは1社のみ、自分1人の孤立した課題ではなく、世界の課題や世界とつながっていることを感じることで、勇気を持つことができるようになってきたからなのではないかと、感じている。
(引用:大川印刷HPより)

まず、自社内からSDGsを共通言語にパートナーシップを実現した効果は、社内の活気向上にも繋がっているそうです。

それは、自分たちの仕事が世界に繋がっていることを、従業員さんたち自ら理解されたからです。

しかし、このように若い人たちから年配層や幹部層まで、会社全体を巻き込んで一緒に話をするのは大企業では困難。

その反対に中小企業は、一人一人が向き合いやすいという強みを持っています。

だからこそ、地域の中小企業が、SDGsを実現する為の大きな鍵であると黒田氏は伝えられていました。

パートナーシップ最大の鍵は「共通言語」

大川印刷さんの事例でわかった「パートナーシップの鍵」が、SDGsを「共通言語」にするということ。
SDGsという「共通言語」によって生まれるパートナーシップを、ここでも事例を通して黒田氏はお話してくれました。

その事例の一つが、今年1月に私たちSDGsジャーナルでも取材させて頂いた、石川県能美市の(株)エコシステムさん(2018年SDGsビジネスアワード最優秀受賞)

瓦リサイクル事業で全国展開をされています。

SDGs エコシステム

2019年1月 SDGsジャーナル取材時の様子(エコシステム 髙田社長)

瓦リサイクル事業と書きましたが、SDGsという世界の「共通言語」で自社の価値観を明確に掲げたことで、大きな変化が起きています。

それが海外企業とのパートナーシップ。

1月の取材時には、中南米の住宅に使用されるレンガもリサイクル可能である。ということを話されていましたが、現在では実際にビジネスに進展。

中南米から求められ、現地でのレンガリサイクル技術に適用されているそうです。
まさにビジネスを通した世界の課題解決を実現されていました。

「誰一人取り残さない」持続可能な社会実現の為に

2015年9月に採択され、今も変わることないSDGsの指針「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 」にはこう書かれています。

前文

このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。

これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。
我々は、極端な貧困を含む、 あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開 発のための不可欠な必要条件であると認識する。

すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。
我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安 全にすることを決意している。

我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に 移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

(引用:我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ より※太字は筆者にて。)

この前文が「誰一人取り残さない」SDGsの実現とパートナーシップの大前提であり、社内、社外の垣根は無いことを力強く参加者に伝えられた黒田氏。

「地方自治体、企業、暮らす人たち。全ての人が世代を超えて繋がれる」のがSDGs。

「自社の取り組みが世界と繋がっている事を実感し、手を携え合えるのがSDGsのパートナーシップ」であることを、プログラムを通して教えてくれました。

今すぐあなたの会社でアクションを!

いかがでしたでしょうか?

  • もし、あなたの会社がこれからSDGsに取り組もうとしているのなら。
  • もし、経営陣や一部の担当者だけでSDGsを進めているのなら。

今すぐ経営者から従業員さんまで会社の全員でSDGsについて話し合ってみましょう。
そしてまずは、あなたの会社自身から「誰一人取り残さない」パートナーシップを始めてみましょう。

「かといって、何から話せばいいかわからない…」
そんな時には、こちらの4つのステップを使ってみて下さい。

SDGsを「共通言語」にしたパートナーシップを、あなたの会社自身から実現した時。

大川印刷さんやエコシステムさんの事例のように、きっとあなたの会社にも変化が起き始めるはずです。

 

持続可能な社会実現の為に。
SDGsやりましょう!

 

PS

プログラムの最後に黒田氏は

「持続可能な社会づくりには、これまでの延長線上ではない、生産や消費のあり方、一人ひとりのライフスタイルの見直しが必要であり、地域でのSDGs実践においては、多様な主体のパートナーシップが重要。そのためには多様な組織や人たちをつなぎ、前に進めるコーディネーターの役割が不可欠。

と話され、プログラムに参加した全国のJC代表者へ、SDGs推進の期待を寄せていました。

SDGsジャーナルでは、今回のプログラムで誕生した48名のSDGsアンバサダーの取り組みから「SDGs実践のヒント」を今後の記事でもお届けしていく予定です。

日本JCの今後の取り組み

合言葉は「パートナーシップが世界を変える!」

【サマーコンファレンス2019「World SDGs Summit」】

開催期間:7月20日(土)、21日(日)
開催場所:パシフィコ横浜

サマーコンファレンス2019の詳細はこちら

SDGs 目標17 パートナーシップ

=以下、日本青年会議所 挨拶文引用=

公益社団法人日本青年会議所は、誰もが挑戦できる幸せな国日本の創造を目指して、SDGsを軸とした数多くの政策を打ち出し、全国各地で社会実験や提言をして参りました。

その成果を全国の青年会議所会員と一般市民の皆様に広く発信し、日本全国で行われる運動へと昇華していくために、サマーコンファレンスを横浜の地で開催します。

本年で26回目を迎えるサマーコンファレンスのテーマは「World SDGs Summit」と致しました。

日本JCは多くの団体・企業とパートナーシップを築き、SDGsを推進してまいりました。サマーコンファレンス2019では、参加者の皆様が、日本JCをハブとして多くのパートナーシップを構築いただくことができます。皆様自身がパートナーと共にSDGsに取り組んでいただくことで、持続可能な社会が実現すると考えております。

また、2030年以降の社会の主役である学生の皆様には、自治体・企業・団体のみならず、国内外の若手社会起業家のSDGsへの取り組みを知ることで、持続可能な社会の実現に向けた地球の課題解決方法を認識し、今からすぐにできること、そして、将来自分が取り組みたいことを明確にしていただきたいと考えております。

さらに、本年は、家族で楽しめるというこだわりの設えを随所にご用意しております。
ご参加いただいた親御様には教育プログラムを通し2030年以降を担う人材を育てる当事者として、今から始められる教育方法知っていただき、お子様にはVRなどの最新技術を用いたアトラクションで楽しみながら自然にSDGsの世界に引き込まれることで、家族で身近に始められるSDGsをお持ち帰りいただける機会になるものと確信しております。

結びとなりますが、サマーコンファレンス2019の開催にあたり共催の一般社団法人 横浜青年会議所並びに横浜市をはじめとする多くの関係者の皆様に、ご支援とご協力を賜りましたことに感謝を申し上げます。
共に心躍る未来へ、やりましょう!

公益社団法人日本青年会議所
第68代会頭
鎌田 長明

【サマーコンファレンス2019「World SDGs Summit」】

開催期間:7月20日(土)、21日(日)
開催場所:パシフィコ横浜

サマーコンファレンス2019の詳細はこちら

SDGs 目標17 パートナーシップ

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