2019年度
理事長 酒井一平さん
専務理事 鈴木 大崇さん
今回のインタビューでは2018年11月に始めて団体でSDGsに取り組まれた丹羽青年会議所(以下丹羽JC)のSDGs導入成功事例をご紹介します。 (青年会議所とは?)
最初はメンバーからの反対もあり、事業開催当日まで不安だった丹羽JCのみなさんですが、事業は目標参加者を大きく超える結果になりメディアからの取材も獲得。SDGsによる事業成果を計画から実行までたった1ヶ月で出されました。
それまでSDGsの知識も無く、最初は「本当に自分たちでSDGsなんてできるのか?」「やる意味があるのか?」と思われていたそうです。
しかし、それでも団体の事業にSDGsを取り入れ、メディアの取材を受けるまでの反響をどのように獲得したのかをお聞きしました。
SDGsに取組むきっかけ
元々11月には別の事業計画があったんです。
突然、SDGsをやってくれって言われても、
英語で意味がわからないし、
「やるなら勝手にやってくれ!」「なんでそんなことやらなあかんの?」
本気でそう思ってました。
実は、SDGsには自分たちから進んで取組んだわけじゃないんです。
今回SDGsに取組んだ2018年11月には元々別の事業計画があって、あとはもうやるだけ。という直前まできていました。
そんな時に突然、当時の理事長から「SDGsっていうのがあるけど知ってるか?」って聞かれたんです。
はじめて聞いた英語の言葉だったので「なんやそれ?新しい病気か何かっ?」って思いました。(2003年に問題になったSARSとかありましたから。)それが当初予定していた事業の1ヶ月前、10月1日の話です。
で、鈴木専務(当時副理事長)に「何それ?」って聞いたら、彼も当時はよく分かってなかったので、「ゴールが沢山あって、それをみんなで問題を解決していって、、、」みたいな感じで尚更よくわからない。
実は2019年は日本青年会議所の取組みでSDGsを日本をあげて推進するということで、その時、鈴木専務のところには「翌年の全国推進に先駆けて、一丁目の一番地でやってみないか?」という打診が当時の理事長を通じて日本JCからきていたわけです。
とはいっても、そんなわけのわからない状況で、いきなりそのSDGsとかいうものに紐付けた事業を2週間後の10月18日の例会後にセミナーを受けて、11月にやってくれって言うんです。
「そんなのダメでしょ!」って即答しましたね。
日本JCからの依頼とはいえ、ずっと計画してきたものを鶴の一声で今からSDGsに紐づけて作り直すなんて、賛成できませんでした。
「やるなら勝手にやってくれ。俺は絶対に出ない。」と本気で断固反対したのが最初です。
だから、SDGsのことも知らなかったし、やる気も全くなかったんです。
でも、、、
「もしかしたら、SDGsは本当にいいものなのかもしれない。」
セミナーでSDGsをちょっとづつ知っていくうちに
意識が変わり始めた。
私自身は「やってみなければわからないから、やってみたい。」という気持ちは不安ながらもあったんですが、最初は私の方にもすぐにメンバーから大反対がありました。メンバーも誰もSDGsのことを知らなかったんです。
「SDGsとかよくわからないこと言われてもやれるわけないじゃないですか、、、」
「なんで聞いたことがないSDGsというものに取り組まなきゃいけないんだ!」
そんなメンバーからのストレートな反対の声が物凄くあって、私自身もSDGsをまだよくわかっていなかったので、どうしていいかわからない状態でした。
だから、メンバーには「やってみてから、いいのかわるいのか?判断してみよう」と呼びかけてなんとかセミナーに無理やり参加してもらったんです。この時が一番大変でした。
でも、セミナー当日、日本JCの方達が丹羽JCのために一生懸命教えてくれたことで、意外な展開になっていって驚きました。
ワークショップ形式で自分たちの街の課題を抽出して、それが自分たちの事業と結びついたりしていくのを体験していくうちに、メンバーからだんだん色んなアイディアや意見が出てくるようになっていったんです。
そんなに難しいことじゃなくて、今までやってきたことの先にSDGsを紐づけていけば、自分たちの理解も進むし、みていただいた時に具体的なアイコンがあるからなんとなくイメージがつくところがいいんじゃない?という感じでメンバーの意識が少しづつ好転していきました。
まだまだ、やってみたいという気持ちが、限られた時間で事業を作り直すことの不安と混じり合ってはいましたが、鈴木専務がメンバーに伝えた
「やってみなければわからないから、とにかくやってみよう。」
という想いへの意識の変化が少しづつ起こり始めたのを感じた瞬間でした。
街の人たちに伝わるのか?どれくらい反応があるのか?
当日まで不安でした。
セミナーを受けてSDGsを理解でき始めたことで、「そんなに難しくない。」と思えるようになった。
今やっていることにプラスアルファ少し手を加えるだけで、僕らみたいな小さな地方のJCでも世界の為に日本JCが推進したいSDGsをやれるんだ。というのがわかって、メンバーも少しづつ腑に落ちていった。
でも、それでも本当に街の人たちにSDGsのことを伝えて、当日参加してもらえるんだろうか?
そんな不安は当日までずっとありましたね。
これまでも自分たちでいいことやってるつもりなんですけど、参加者を集めるのに苦労していたので。
いいことをやっているのがなかなか街の人たちには伝わりにくいのかな。と思っていました。
だから不安だったんです。
でも、告知、開催してみたところ、、、
計画していた目標参加者20名を
はるかに超える参加申込みがあり、
最終的に目標の4.7倍
94名の方が参加してくれました。
参加人数をたくさん集めることだけが私たちの事業目的ではありません。
でも、参加人数が多かったことで社会に自分たちの活動を求めてもらえたと言う手応えとやりがいを感じました。
今回私たちが開催した事業で取組んだのはSDGsの目標4「質の高い教育」と目標11「住み続けられるまちづくりを」の2つ。
目標達成の為に、子どもさんのいるご家族を対象に、地域の憩いの場である広場を使った「やきいも大会」を企画しました。
やきいもの前にみんなで広場を清掃することで、住み続けられる地域のために、清掃活動意識を高める教育を行い、どんぐりを使ったおもちゃ作りでは発想力や独創性を育んでもらうという目的を達成することができたと思っています。
SDGsの目標って、番号が振ってあったり、木の絵が書いてあったり、魚の絵が書いてあったりするからパッとみてもわかりやすい。
実は、お恥ずかしいことに私の会社ではこれまで社員にJCの事業に参加を呼びかけても誰も反応がなかったんです。
でも、今回のSDGsに紐づけた事業には7人も社員さんが来てくれたんです。
今回SDGsと紐づけた事でチラシもわかりやすくなりましたし、自分自身も事業の目的を明確にできたこと で「何の為にやるんだ?」というのを訴えかけることができたのかな。と思います。
嬉しかったのは事業が終わった後に「楽しかった」と言ってくれただけでなく、
「JCが社会に訴えていることが少しわかったから、これからも事業があれば教えてください。」
と言う風に社員さんから声を掛けてくれたことです。
メンバーのみんなもSDGsに紐づけて作ったチラシがあることで、街の人にチラシを配った時に事業の意義 や目的を説明しやすかったようです。
弱点だった広報、ブランディングを克服し
メディアからの取材依頼によって
JCの社会貢献活動を沢山の人に知ってもらえ
地域との繋がりやメンバーの意識が変わり始めた。
これまで私たち丹羽JCの弱点として、広報やブランディングということを全然やれてなかったんです。
だから、いいことをやっているのに、地域の人たちにちゃんと理解をしてもらえてない。 そんな悩みを抱えていました。
それが今回新聞に載ったり、地元のケーブルテレビで放送して頂いたことでより広い人たちに自分たちの活 動を知って頂くきっかけになりました。
これまで反応のなかった家族や親世代の人たちが「青年会議所が載ってるぞ!」となって盛り上がったり。 今年の丹羽JCの会員拡大対象者の方達も、これまでにないくらいJCに対する興味を示してくださいました。
特に私たちの地方では普段地元のニュースが多いので、普段ない社会的で世界の目標っていうSDGsは取り上げやすかったんじゃないかと思います。
そんな風に、自分たちがやった活動の結果が目に見えるようになったことで、メンバーのモチベーションも 上がっていきました。
今ではSDGsに紐づけて事業をする為にどうやって議案を作ったらいいか?なんてメンバーが自主的に調べ たり動いたりして、次の動きに確実に繋がっていきました。
最初はみんな反対していたのに。驚きです。
SDGsに取組んで取材を受けたことで、
プレスリリースに必要な
メディアとの関わりが分かっただけでなく
パートナーシップのご提案も頂けた。
取材を受けたことで思わぬ効果もあったんです。
それは、自分たちの活動を取り上げて頂いたニュースの構成を見て、「なるほど!こうやって自分たちの事 業を伝えればいいのか」という風にわかりやすい発信の仕方を知ることができましたし、
メディアの方にどうやってアプローチすれば取り上げて頂けるのかの勉強になりました。
また、これはまだ確定していないので詳細はお話できないのですが、今回の事業をメディアに取り上げて頂 いたことで丹羽JCの活動に理解を頂いた企業様から、賛助企業になるのでパートナーシップを組みませんか? というお話も頂けました。
そういった自分たちの活動にご理解を頂ける企業や地域の人たちとパートナーシップを組むことはまさに目 標17。SDGsに反対していた時は想像もしなかった展開です。
今はSDGsを
みんなもやった方がいいって思ってます。
批判して反対してたけど
やってみたら
「こういうことかっ」て分かった。
絶対にやりたくないって思いが最初は強かったんですけど、やり始めたら、
「なんだ自分たちのいつもやっとることじゃん。」 「別にそんなに難しくないじゃん。」
っていうことがわかってきた。結局SDGsの内容は難しくなかったけど、突然日本JCから依頼がきたので構えて勝手に難しくしちゃってたんですよね。
今思えば酷いですが、セミナーを受ける前は「はよ、終われっ、、」って心の中で思ってた私が言うので間 違いないです。SDGsは難しくないです。
今回SDGsに取り組んで社会を見回してみたら、大手スーパーでもSDGsを事業に取り入れてやっていました。
担当者の方にどうやってSDGs取り入れているのか聞いてみたところ、 「何も難しいことはやってませんよ。」「これまで自分たちがやっている取り組み と紐づけただけなんです。」と仰っていました。
それを聞いて正直、やっぱりSDGsは難しくない。紐づけるだけで自分たちの事業をPRできて、社会貢献で きるのならみんなでやらない手はないなって思いました。
SDGsに合わせて
会議のやり方から変えてしまえばいい
あとは
とにかくやってみること
これからSDGsに取り組まれる他の地域のJCや企業の方達は、会議のやり方から変えてしまえばいいと思います。
具体的には決まった議案のフォーマットがある団体や企業では、議案のフォーマットを変えちゃえばいい。 必ずこの議題はSDGsの何番に繋がるのか?ってことに辿り着くようにです。
正直私たちも最初はどうやって議案を書いていいのか本当にわからなかったんです。 でも今は議案のフォーマットをSDGsを踏まえたものにしていったので自然とSDGsをやれるようになってます。
初めてやってみて思ったのは、SDGsに紐づけた事業をやる為に街の課題と向き合ったことがすごく勉強になりました。
とにかくまずやってみる。そこから判断してみるのがいいんじゃないかなと思います。
丹羽青年会議所さんへのインタビュー映像はこちらでご覧頂けます。
日本JCの今後の取り組み
世界の青年会議所会員が金沢に集う!|金沢会議開催
2月22日(金)〜24日(日)の3日間。
石川県金沢市で、日本青年会議所におけるSDGsの原点ともいえる「金沢会議」開催されます!
金沢会議とは?
2015年11月に開催された JCI世界会議金沢大会において、 JCIが国連の持続可能な開発目標(UN SDGs)への協働を約束する「金沢宣言」が採択されたことに基づき、JCI金沢会議が開催されましたのが始まりです。
会議期間中は、各国代表者がSDGsへの知識を高めるとともに、今後の取り組みについての議論が行われます。