From:SDGsジャーナル 深井宣光
みなさんはNHK Eテレの「ビットワールド」という、こども向け教育番組はご存知でしょうか?
小学校低学年ほどの子どもたちを対象とした、とてもユーモアあふれる教育番組です。
実はこの度、その「ビットワールド」のSDGs企画の監修をさせて頂きました。
「GO!GO!社長ちゃん」という、とってもポップでコミカルなコーナーのスペシャル企画で、ユーモア溢れる物語を通じてSDGsを学ぶというもの。
今回の物語には、気候変動や、大気汚染などいろんな世界の問題が、子ども向け教育番組ならではの切り口で、楽しく学べるように登場していました。
次々に登場する問題に、大人にはなかなか出てこない、子どもたちならではの柔軟なアイディアで解決していく様子をみていると、わたしたちがSDGsに取り組む上でとても大事なヒントがあったので、今日はそのことについて少し書きたいと思います。
ストーリー概要
登場する社長ちゃんというキャラクターは、ナンデモカンパニーという自分の会社を持っていて、視聴者の子どもたちから送られてきた商品アイディアを販売するという仕事をしています。
ここ最近新しい国を手に入れた社長ちゃんは、自分の国を発展させるために自社の商品を外国へ売りにいくことに。
しかし、向かう国はどこも森林破壊や大気汚染など様々な問題に悩んでいました。そこで、その悩みを視聴者の子どもたちから送られてきたアイディアで解決していきます。
「ジュースポツポツ」という国ではジュースの雨のせいで森林が破壊されていて、「森の木々が育たない」「木に元気がない」という問題を抱えていて、それを、
- 「ももんがさ」という飛んできたモモンガの広げた足が「傘」のようにジュースの雨を防いで解決してくれたり
- 「脱水こいのぼり」というこいのぼりが全部吸い取って解決してくれたり
と、この他の問題に対しても、次々に大人では思いつかないような、斬新なアイディアが登場していました。
大気汚染で苦しんでいる「自動車共和国」ではなんと
- サイコロの目だけ車が進めるようにして交通整備をして渋滞問題を解決したり
- 「大声自転車」という、「あ〜!」といったら進み、「きー!」といったら止まる自転車で排気ガスのでないクリーンな乗り物を実現したり
などなど。その発想にはワクワクとキラキラがたくさん詰まっていました。
捨てることも大事
このストーリー。子どもは発想が豊かだなあ。といえばそれもそうですが、今回の監修で、こどもたちのアイディアをみていて特に私が感じたのは、「できない方法を考えていない」という点でした。
目の前で起きている問題に対して、一切の制約を取り払って「できる方法」や「こんなことできたら最高!」な世界を考えることは、まさに「ムーンショット」などに通じる「バックキャスティング」な考え方。
バックキャスティングとは?↓
大人になるにつれて深まっていく「経験」はしなくていい失敗を避けたり、効率的に判断する時にはもちろん大切ですが、これまでの「経験」や「固定概念」を捨てて、できない方法を考えない未来と希望に溢れた子どもたちから、今こそ私たちは学ぶべきことが沢山あると感じた今回の監修でした。
PS
我が家の娘(小学校6年生)に「温暖化」ってどうやって解決したらいいかなあ?と聞いてみたところ…「冷凍庫を開けておいたらどうかな!」といったので、「でも、涼しくなるのは台所ぐらいじゃない?」と聞いたところ、、
わかってないな〜という顔で「だから!みんなで開けるの!ほんとに全部のみんな!世界の!」と返されました。
それじゃあ、電力消費が上がってトレードオフが、、というのは大人の考えですが、1人では意味がなくても、一人一人の行動が変われば何かが変わる。
その可能性を私たちは常に持つべきと、改めて思わされた次第でした。