目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とは?
この目標9は「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」のテーマのもとに8個のターゲットで構成されています。
「強靱(レジリエント)なインフラ」とは?
目標9のテーマに含まれる「強靱(レジリエント)なインフラ」というこの言葉
強靭? レジリエント?
正直、そんな風に思った方は多いのではないかと思います。
ですが、実のこの「強靱(レジリエント)なインフラ」とは何を言っているのかを知ることが、目標9を理解する上で必要不可欠なので、まずはその解説をしたいと思います。
強靭とは?→強くしなやかで粘りあること
レジリエントとは?→「速やかに元の状態に回復する能力・性質」のこと
(引用:J-STAGE https://www.jstage.jst.go.jp/static/pages/JstageOverview/-char/ja)
と定義されていて、決して、壊れない強さのことを指していないことがわかります。
つまり、
自然災害等にあっても、いち早く元の状態に回復できるインフラのことを目標9では「強靱(レジリエント)なインフラ」と読んでいます。
目標9を構成する8個のターゲット
9.1 | すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。 |
9.2 | 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。 |
9.3 | 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。 |
9.4 | 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 |
9.5 | 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官⺠研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。 |
9.a | アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。 |
9.b | 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。 |
9.c | 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。 |
なぜ、目標9が必要なのか?
目標9が必要な理由
それは、開発途上国において基礎インフラ(電気、ガス、水道、交通、インターネット等、私たちの生活に必要な施設や設備)が未整備であることが、
- 人々の生活水準向上
- 持続可能な産業発展につながる技術革新
にとって大きな課題となっているからです。
また、先進国、途上国を問わず近年増加している自然災害に直面した時に、いち早く元の状態に回復できるレジリエントなインフラ構築が世界的に求められており、これからの持続可能な世界の為に必要不可欠だからです。
開発途上国のインフラ現状
開発途上国では、私たちが暮らす日本では当たり前のインフラがどれだけ満たされていないかをご覧ください。
- 安定的な電力供給を受けられない人の数 約26億人
- 基本的な衛生施設を利用できない人の数 25億人
- 水資源にアクセスできない人の数 8億人
- 信頼できる電話サービスが受けられない人の数 10〜15億人
また、インフラの未整備によって生活水準が満たされないだけでなく、経済成長においても大きな影響を与えています。
- 企業の生産性が損なわれている率 約40%
- 開発途上国で加工される農産物 わずか30%(高所得国の3分の1)
(参照:UNICEF「持続可能な開発目標ファクトシート」より)
インフラが満たされ産業化が進むことのメリットとは?
明日の飲み水はどうしよう?とか電気がなくて生活することに困っている状態からインフラが整備されることで得られること。
それは、インフラが満たされ日々の生活が安定すると、
理想の生活を実現する為に働くことへの意欲が湧いて企業の生産性が上がり、
生産性の上がった企業には雇用が生まれ、
働く人たちは安定した収入を得られるようにもなります。
これはまさにSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の実現でもあります。
しかもそれだけでなく、安定した収入を得られるようになって貧困から抜け出した家庭の子どもたちは、学校に通って教育を受けることもできるようになります。
これは目標4「質の高い教育をみんなに」ですね。
だからつまり、
災害にあってもいち早く回復できるインフラを整備することは、SDGsの目標を実現するために欠かせない基盤を作ることにもなっていたんです。
取組事例
アフリカを救い始めた技術革新とは?
アフリカのガーナでテストが始まっているこれまでになかったソーラーを活用したマシン。
それが「watly」です。
一見、どこにでもおけるソーラー発電機?と思ってしまうかもしれない外観ですが、その機能はまさに「技術革新」の結晶。
太陽光発電して電気を貯めて共有できるのはもちろんのこと、貯めた電気を使って不衛生な水もクリーンで安全な飲み水にしてくれます。
またそれだけでなく、地理的に交通が整っていなかったり、僻地であったりして配線を引くことができない地域でも、無線インターネットを接続できたりするので、教育の普及にも期待ができます。
太陽光発電というこれまでにあった分野の新しい技術革新が、たくさんの目標に繋がっています。
技術革新が生み出すSDGsの連鎖
インターネットを使って教育(目標4)の普及をすることで、貧困(目標1)と飢餓(目標2)問題の解決に。
クリーンで安全な水(目標6)によって、健康(目標3)な暮らしが可能に。
クリーンなエネルギー(目標7)によって、気候変動に具体的な具体的な対策(目標17)が持続して可能です。
これまでになかったクリーンエネルギー事業によって働きがいのある社会に。
このように次々にSDGsの目標が連鎖して目標達成に動き出します。
あなたの会社ですでにしている事業に新たな視点で取り組むことで、あなたの会社でもこのSDGsの連鎖を生み出せるかもしれません。
特に、目標7でご紹介している「再生可能エネルギー事業支援」では、あなたの会社がクリーンエネルギー事業に取り組むための沢山のサポートを環境省がしてくれているので、ぜひご覧になってみてください。
次にSDGsの連鎖を作るのはあなたの会社です。
PS
そもそもSDGsってなんだっけ?という方はこちらをクリック
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