実はSDGsなクラウドファンディング商品事例を図解|アウトドアブランドが本気で手がけた防災用ソーラーモバイルバッテリー【SoNAe】

※この記事では、SDGsに貢献している商品/サービスの「クラウドファンディング事例」を、SDGsの視点で図解分析・解説しています。

こんな人↓に、この記事は役に立ちます。

  • うちの会社に貢献できるSDGsなんてあるんだろか…?と思っている人
  • 自社の素晴らしい商品を、社会に届けられていない人

この事例のポイント

  • 一見よくある商品。でも…
  • 社会課題視点で考えると、「商品」の本当の価値を届けられる

解説者:深井宣光

・SDGs支援機構 事務局長 / SDGsジャーナル 運営統括責任者
・TBS系列チューリップテレビニュース/SDGs企画レギュラー解説者
・NHK、日テレ、TBS、テレビ東京等民放各局、各種メディアのSDGs企画の監修、制作協力多数
・雑誌「FQ JAPAN」にてSDGs/サステナブル企画記事を連載
・SDGs実践者への取材/事例解説 650件超
・ベストセラー書籍「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)著者
・Google(YouTube)が社会的/文化的/経済的に貢献したクリエイターを称える
 「Humans of Youtube」において選出した日本を代表する100人のひとり
・SDGsの成功事例を調査/研究している

今回解説するクラウドファンディングの商品はこちら(現在も5月31日迄、クラウドファンディング実施中です)

パタパタ回ってるのを見続けると、目が回るのでご注意を…

FAL.CO

アウトドアブランドが本気で手がけた防災用ソーラーモバイルバッテリー【SoNAe】

クラウドファンディングページはこちら

一見よくあるこの商品。実は…

これから解説する商品は、そうもモバイルバッテリーです。モバイルバッテリーなんてどこにでも売ってるじゃん。充電して、使えるバッテリーでしょ?そう思った方、その通りです。どこにでもありますよね。

でも、そんな、Amazonでも、楽天でも、クラウドファンディングでも結構よくある「モバイルバッテリー」を取り上げるのにはちゃんと理由があるんです。

それは何かというと…まずは↓の図解とクラウドファンディングデータをご覧ください。

SDGsxクラウドファンディング図解

クラウドファンディングデータ

使用プラットフォーム CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
目標金額 300万円
支援総額 3,627,100(2022/05/25現在)
達成率 1209%
支援者数 278人
期間 約1ヶ月間(2022年4月23日(土)〜5月31日(火))
リターン ⚫︎ セット内容
防災用ソーラーモバイルバッテリー「SoNAe」× 1台
⚫︎ 付属品
Type-C ケーブル, ユーザーマニュアル, カラビナ※早割等リターンプランにより割引や追加アイテムありクラウドファンディングの詳細ページ

それでは、ここから先は、一つ一つのパーツを解説していきます。※今回の記事作成にあたっては、クラウドファンディング実施者であるFAL.COの田口さんに、実際に取材をさせて頂きました。

誰に対しての商品?

今回のクラウドファンディングは、30〜40代の家庭を持っている男性をターゲットに実施されています。(図解中央)

そして、図解左に配置されているのがターゲットの抱える「悩み」。日常での電源切れに対する悩みと防災対策に悩める人が想定されています。

また、ターゲットが「こうなりたい」と願う理想の未来であり姿は、電源切れの悩みから解放され、日常使いのできる防災対策を実行すること。

クラウドファンディングのタイトルは「アウトドアブランドが本気で手がけた防災用ソーラーモバイルバッテリー【SoNAe】」というコピーになっているように、想定しているターゲットに対し、「アウトドア」と「防災」の両面からアプローチしていることがわかります。

どんな商品?

続いて図解中段。このモバイルバッテリーは、FAL.CO初のガジェットアイテムであり、信頼のおける製造メーカーの技術と、田口さんの実現したい商品クオリティの理想が掛け合わさり、FAL.COの自社ブランド商品としてOEMで開発/製造されました。

一見よくありそうなモバイルバッテリーなものの、この商品スペックに、実はSDGsな商品価値が隠れています。

例えば、田口さんが拘ったというバッテリー容量。通常一般的に販売されているモバイルバッテリーは、容量の大きいもの20,000mha。それ以上の容量になると、容量の大きさは満たせても普段使いとしてカバンの中に入れて持ち歩くには大きさ、重さともに覚悟がいります。

そんな中、この商品は発電用の太陽光パネル4枚を実装して重さ590gとペットボトル1本分程度の重さに抑えてきています。また、外寸サイズはiphoneよりも一回り程度大きいくらいの寸法に収めてきています。

実際似たようなバッテリー容量で、似たような重さの商品はAmazonなどでもよく売られていますが、太陽光パネル4枚実装となるとかなり数が絞られます。

また、そこからさらに、絞られるのが、高出力か否か。どういうことかというと、モバイルバッテリーでスマホやiPhoneが充電できるのは今や当たり前の時代ですが、MacBookなども充電な可能なモバイルバッテリーとなるとまたまた絞られます。

そして、そこに、高防水・高い防塵を実装。クラウドファンディングページにはこう書かれています。

アウトドアブランドが手がけたることもあり、強くこだわったのが防水性と防塵性です。強風による粉塵が内部に入らず豪雨でも浸水の恐れがない防塵防水仕様の「IP66」を実現しました。

暴風雨に見舞われるかもしれない屋外のキャンプにも安心して持っていくことができます。

つまり、整理すると…

一見、結構よくあるよね。と見えるモバイルバッテリーは、ん?よく見ると、なかなかこの条件が全部そろったものはないな。という高機能を実現していたわけです。

このスペックを実現できたのは、田口さん自身が年30〜40回もキャンプに行くほどアウトドア好きだったから。キャンプ中もMacBookを使用していて、いつもバッテリー問題や、アウトドアに持っていくガジェットのタフさには課題を抱え、こんな商品あったらいいのに。という願望を抱いていたからです。

※この商品のより詳しい解説はこちらのYouTuberさんがしてくれています。さらに詳しく知りたい方は動画でご覧ください。

SDGsの視点で見るとどうなる?

では、ここからが肝心のところ。SDGs的な視点では、今回のクラウドファンディングがどんな価値や意味を持っているかということです。

私たちが住み暮らすこの日本は災害大国。2011年〜2020年に世界中で発生したマグニチュード6以上の地震、全1443回の地震のうち、日本周辺で起きた地震の数は259回。つまり、日本の面積は、世界全体のわずか0.25%という大変小さい面積にも関わらず、世界で発生するの地震の約2割が、日本周辺で発生しているんです。

また、今から30年以内に大地震が起こる確率は70〜80%と高く、その時発生する死者数は32万人を超えると言われています。(出典:内閣府「日本の災害対策」)

阪神淡路大震災や東日本大震災を経て、防災に備えるいわば防災意識の向上は国をあげて呼びかけられ続けています。

しかし、被災経験がある人でも「災害への備えをしている」割合はたったの53.6%。(参考:「災害への備えに関するアンケート調査」)

この数字からも、被災経験のない人を含め、防災対策をしていない人の方がはるかに少ないことがわかります。まだ目の前に起こっていない危機に備えることは、私たち人間にとってどうしても後回しになってしまうのかも知れません。

また、どれだけ防災の備えをしていても、災害は突然発生するため、倒壊した自宅内にある防災用品を取り出すことが困難な可能性や、そもそも自宅に取りに帰ることすら困難なことが考えられます。だからこそ、普段から当たり前に使用できて、携行できる防災用品は突発的な災害発生時に真価を発揮してくれるといえます。

SDGsには確かに社会構造のそもそもを変革することで、レジリエンスかつ、サステナブルな社会を実現することも必要とされています。しかし、そのような変革を実現するために必要なことは、まず私たち一人一人が有事にも持続可能でレジリエンスな防災対策ができていることがとても重要です。

※レジリエンスって何?という方はこちらの記事も合わせてどうぞ。

開発経緯とクラウドファンディングへの想い

田口さんは、オリエンタルラジオの中田敦彦さんの奥さんでありタレントの、福田萌さんのオンラインサロン「福田萌のママズオンラインサロン」のメンバーさんでもあり、防災意識が高く年数回は防災イベントも行っているという福田さんとの交流も、開発や、今回のクラウドファンディング実施のきっかけになったそうです。そのため、こちらのクラウドファンディングのページには福田萌さんから直接の応援メッセージも掲載されています。

福田萌さんのオンラインサロン「福田萌のママズオンラインサロン」はこちら

※「ママズ」ということなので、こちらも一見ママじゃないと関係ない?ママじゃないと入れない?と思ってしまうかも知れませんが…いやいや!全然そんなことはないそうです。なぜなら田口さん自身はパパとして福田さんのオンラインサロンに入られており、育児をする上でとっても暖かく大切な繋がりを築けているそうです。今回のクラウドファンディングのメッセージもいわゆる「案件」ではなく、田口さんを応援する気持ちのみで協力してくださっているそうです。(凄い!!!)

田口さんは今回のモバイルバッテリーについて取材でこう話していました。

今の人たちは自分自身も含めて、情報を集めるのもスマホ。暇つぶしも、娯楽もスマホやデバイス。不安な気持ちを解消するツールもデバイス。なんでもかんでもスマホやPCといったデバイス依存な状態。だとしたら、災害などの有事にも、それらの当たり前の生活を助けられる、安心してもらえる商品は何か?そう考えたら「電源」だったんです。

だから、なるべく小さく、なるべく大容量で高出力。なるべく沢山のデバイスに繋がる。そんな商品にトライしたかったんです。

事実、「電源」の重要性についてはこんなデータがあります。仙台市が被災者に行ったアンケート調査では、

避難所に必要と思う物資は、「冷暖房器具」が 42.3%と最も多く、次に「携帯電話の充電器」 (33.8%)、「発電機」(29.8%)、「防寒具」(29.5%)、「ラジオ」(28.2%)が 3 割前後で続い ている。(引用:東日本大震災に関する 市民アンケート調査)

という調査結果が報告されており、有事に際した「電源」の確保が重要であることがわかります。

社会課題解決という市場を正確に「見る」

一見するとよくある商品でも、日本や世界で起こっている「社会課題」の視点で捉えると、これまで見落としていたり、伝えきれていなかった価値や、その商品を買う意味が見えてきます。そして、その価値は自社が認識していなければ決して社会に届けることはできません。

みなさんの会社の商品の機能/性能は、みなさんの地域が抱えている「社会課題」、日本という国が抱えている「社会課題」、世界で抱えている「社会課題」を解決する手段としての可能性を見た時に、どんな価値を持っていますか?

もしかしたら、あなたの会社の一見よくある商品にも、社会が求めている思わぬ価値が眠っているかも知れません。

アウトドアブランド「FAL.CO」の今後

今回、事例図解として取り上げさせて頂いたFAL.COの田口さんは、今後も大好きな「アウトドア」と別のものを掛け合わせてこれまで「アウトドア」に触れる機会のなかった人たちにもアウトドアの楽しさと防災意識の向上を広げていきたいとのこと。

田口さんが実施中のクラウドファンディングは現在目標を超えて応援されており、「アウトドア」きっかけで「防災意識」を持った人。「防災」きっかけで「アウトドア」に興味を持った人。そんな人たちが双方向から増える好循環がおきているのではないかと思います。

アウトドアブランド「FAL.CO」の取り組みを応援する

今回取り上げた「防災用モバイルバッテリー」のクラウドファンディングは、5月31日(火)まで開催中。応援購入をCAMPFIREですることができます。

それでは、今回の事例図解がみなさんのビジネスと社会問題解決=SDGsを両輪で推進するきっかけになれば幸いです。

PS

今後の記事では、SDGsに取り組んでいる企業、これから取り組む企業だからこそクラウドファンディングを活用するメリットなども解説していく予定です。

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